金田たつえ名曲選 髪切り夢屋

金田たつえ 金田たつえ名曲選 髪切り夢屋歌詞
1.髪切り夢屋

作詞:倉田二朗
作曲:南谷龍

未練はないわ 長い黒髪
すぐに切ってと 女がひとり
私の店は 髪切り夢屋
夢をなくした 女が来ます
いいのよ いいのよ 泣くだけ泣いて
恋の傷跡 置いてきなさい
うしろ髪 断ち切るハサミ
恋も切ります 髪切り屋

人目を忍ぶ 恋ゆえ哀し
胸をつきさす 痛みも深い
髪さえ梳けば すぐにわかるわ
ここが潮時 別れの時ね
いいのよ いいのよ 黙っておゆき
幸せつかむ あなたのために
迷い髪 残らずおとし
罪も切ります 髪切り屋

いろんな女 尋ねてきます
帰る時には 笑顔が光る
恋路の病 やさしく治す
これが噂の 髪ワザなのよ
いいのよ いいのよ いつでもおいで
恋はいなもの 気まぐれなもの
私の店は 髪切り夢屋
夢もあげます 髪切り屋


2.能登の火祭り

作詞:横山賢-
作曲:花笠薫

能登の火祭り 月夜の浜に
キリコの若衆 渦を巻く
わたしもあなたに 口説かれたなら
身を灼く女に 変わりそう
飲んでもいいわ
御陣乗太鼓の 浮かれ酒

まるで大漁の 巻網起こし
お神輿火の中 水の中
つがいの鴎が 飛び立つように
ふたりになりたい 夢見頃
さらっていいわ
いのちの祭りに 悔いはない

能登の火祭り かがり火よりも
ぶつかる人波 なお熱い
あなたと寄り添い 宇出津(うしつ)の宿へ
向かえばやさしく 海が鳴る
抱いてもいいわ
しあわせ呼ぶよな 腕のなか


3.真剣師

作詞:木下龍太郎
作曲:保田幸司郎

負けて傷つく 名誉はないが
勝たにゃ明日の 銭がない
誰か付けたか 真剣師
次の一手を 思案の駒に
命 捨て身の
命 捨て身の 将棋盤

(セリフ)「賭け将棋に人生を賭けているから真剣師。
いい呼び名じゃございませんか。
負ければ明日がないー だから毎日毎日が真剣勝負なのでございます。」

好いたほれたの 色恋沙汰は
なんで出来ない 後始末
いつか世間も 通せんぼ
恨みますよと 泣いてた女の
声が聴こえる
声が聴こえる 風の宿

(セリフ)「私にもこの世にたった一人の子供が居ります。
馬鹿をしながら貯めたこの金は、
私になにかありましたら子供に渡しちゃあくれませんか。
詫びの印にしては、あまりにも少うはございますが……」

駒に男の 人生賭けて
それで死ねたら 悔いはない
骨の髄まで 真剣師
賽の河原で
船賃賭けて
鬼を相手に
鬼を相手に 将棋指す


4.つれあい

作詞:里村龍一
作曲:叶弦大

今日も一日 お疲れさんと
つける熱燗 ひと肌なさけ
なみだ雨がふる 世間と言う川に
傘さして あなたと点す
夢はひとすじ 夫婦の灯り
愛が命の つれあい酒よ

風の冷たさ 浮世の辛さ
肩に重たい 振り分け荷物
追えば逃げてゆく 逃げれば追いかける
哀しみにふたりで泣いた
寒い暮らしを あなたと飾る
愛が絆の つれあい道よ

広いこの世で あなたの膝が
たった一ツの 泣き場所なのよ
苦労かぞえれば 両手に余るけど
倖せよ あなたとならば
遠い夜空に ふたりで咲かす
愛のいちりん つれあい花よ


5.かくれ傘

作詞:荒川利夫
作曲:保田幸司郎

ふたりは夫婦に 見えるでしょうか
揃いの浴衣の いで湯橋
傘に隠した こころの中に
離れられない 命火よ
涙のような…
雨を写した 川を見る

あなたをこんなに 愛してしまう
私が悪いと 叱る雨
ひとりぼっちを 支えてくれる
そんなあなたが いればこそ
明日もここで…
山の紅葉に 染まりたい

逢ってはいけない もう駄目だよと
言われる恋でも 恋は恋
傘に隠れて 逢いたい想い
捨てゝどうして 生きられる
涙のような…
雨を写した 川を見る


6.夕顔

作詞:はち惣平
作曲:保田幸司郎

濡れた黒髪 梳く指の
細さに泣けば 焦がれ月
あなたの浴衣の 残り香を
乳房包んで…
庭の風鈴 手にとれば
咲いて夕顔 恋しのぶ

和紙の団扇を 帯にさし
ふたり寄り添い 蛍川
夢もはかない うたかたの
おんな一輪…
こころ淋しく 夏に咲く
白い夕顔 何を泣く

雨はむらさき 宵化粧
書いては捨てる みだれ恋文
追えないあなたに 炎えるほど
若くはないわと…
言って聞かせる 縁先に
揺れて夕顔 みれん咲き


7.あかね雲

作詞:一ツ橋雪
作曲:保田幸司郎

出稼ぎばかりの 明け暮れに
泣いてたお前はヨー もうはや二十才
明日は文金花嫁御寮
見せてやりたや 見せてやりたや恋女房
うすい縁のヨー あかね雲

手塩にかけた 娘なら
幸せになれヨー 涙がほろり
女房ゆずりの 器量よし
空を仰いだ 空を仰いだ横顔に
幼いままのヨー 泣きぼくろ

たまにはおやじの ひげ面が
恋しくなったらヨー 一緒に帰れ
愛し殿御と ヤヤ連れて
抱いてやろうぞ 抱いてやろうぞふところに
明日は晴れるかヨー あかね雲


8.お母さん

作詞:関口義明
作曲:花笠薫

どなたですかと 他人のように
わたしを見上げて きく母の
笑顔は昔と 変わらぬものを
いいのよ いいのよ お母さん
やせた手をとり うなずきながら
あふれる涙が 止まらない

苦労親坂 女手ひとつ
なりふりかまわず 五十年
働き続けて くれたんだもの
いいのよ いいのよ お母さん
淡い陽射しの 硝子戸越しに
今年も咲いてる 花すすき

母の背中で ねんねの歌を
きかせてもらった あの道を
今度はわたしが おぶってあげる
いいのよ いいのよ お母さん
心やさしい みんなの中で
いのちを灯して また明日も


9.囲炉裏

作詞:高橋直人
作曲:山本優

茶碗で獨酒 呑みながら
背中屈めて 薪を焼べ
父は黙って 火を見てた
揺らめく囲炉裏の 火を見てた

煤けた梁から 吊るされた
自在鉤には 黒光り
南部鉄瓶 湯気を吐く
溜息みたいに 湯気を吐く

※昔 囲炉裏の回りに 人が居た
爺ちゃん婆ちゃん 元気な父と母
昔 囲炉裏の回りに 人が居た
貧しいながらも 片寄せ暮らしてた
そこには家族の 温もりがあった※

歪んだ板戸の 隙間から
風がこっそり 忍び込み
寒さ残して 吹き抜ける
火の無い囲炉裏を 吹き抜ける

横座に座って 目を閉じりゃ
父の姿が また浮かぶ
ここで人生 思ったか
子供の行く末 思ったか

昔 囲炉裏の回りに 人が居た
兄弟六人 それから猫たちも
昔 囲炉裏の回りに 人が居た
行商おばさん 富山の薬売り
そこには心の 触れ合いがあった

(※くり返し)


10.みちのく炎歌

作詞:石本美由起
作曲:聖川湧

今夜だけでも 愛されたいと
想う心が わかるやら
湯上がりのあなたに 羽織 着せかけて
夫婦きどりの 夢に酔う
女 女 みちのく いで湯妻

明日のことなら わかっているの
駅の別れが 待つばかり
粉雪の寒さを 避ける 夜の部屋
命朝まで あずけたい
お酒 お酒 みちのく いで湯妻

嘘になっても 怨みはしない
いつか 逢えると 誓ってね
その腕に抱かれて燃えて 知りました
恋のみれんを 切なさを
涙 涙 みちのく いで湯妻


11.しぐれ酒


12.さいはて女工節


13.金沢情話~原作 滝の白糸(泉鏡花)より~

作詞:木下龍太郎
作曲:保田幸司郎

舞台の上の 水芸は
裏にあります からくりが
素顔で 惚れた この恋は
表も裏も 誠だけ
あゝ 金沢の月に帯解く 高瀬舟

(セリフ)「欣弥さん 東京で好きなだけ勉強してください。
学費はこの滝の白糸が きっときっと 工面いたします。」

旅芸人の 細腕にゃ
いつか重荷に 仕送りは
操を守る それ故に
この手を染める 罪の色
あゝ 叶うなら この身投げたい 浅野川

(セリフ)「あなた いいえ 村越検事様 人を殺めたのは
誓って想う人への仕送りのためではございません。」

恋しい人に 裁かれる
運命哀しや 糸車
真実を言えと 言う人を
庇って嘘を つき通す
あゝ 金沢の 格子窓には なみだ雪


14.花街の母

作詞:もず唱平
作曲:三山敏

他人にきかれりゃ お前のことを
年のはなれた妹と 作り笑顔で 答える私
こんな苦労に ケリつけて たとえひと間の部屋でよい
母と娘の 暮しが欲しい

いくらなじんだ水でも 年頃の娘のいる
左褄(ひだりづま)
住みにくうございます
浮名を流した昔もありましたが…
ああ あのひと
私を残して死んだ あの人を恨みます

厚い化粧に 憂いをかくし
酒で涙をごまかして 三味にせかれて つとめる座敷
あれが子持ちの芸者だと バカにされても夢がある
それはお前の 花嫁姿

女の盛りはアッという間です 若い妓の時代
もう私はうば桜 出る幕ないわ
でも もう少し この花街に 私を置いて下さい
せめてあの娘に いい花聟が 見つかりますまで

何度死のうと 思ったことか
だけど背で泣く 乳呑児の 声に責められ十年過ぎた
宵に褄とる女にも きっといつかは幸福が来ると
今日まで 信じて生きた


15.流氷の母